




















日経平均・ドル円 相場感(2026年3月)
【日経平均】中東リスクと乱高下の現実 3月の急落と急反発
2026年3月、東京株式市場はかつてない激しい乱高下の展開。3月9日には日経平均株価が一時4,100円超下落するという極めて大きな値動きを記録。3月23日には前週末比1,857円安の51,515円で引けるなど、1月8日以来およそ2ヵ月半ぶりの安値水準への大幅続落という荒れ模様。背景にあるのはWTI原油先物が再び1バレル=100ドルを超える原油高への警戒と、タカ派姿勢が目立った各国中銀のスタンス、さらに米・イラン双方の強硬姿勢という複合要因。
3月26日の大引けは3日ぶり反落となる145円安の5万3,603円と、落ち着きを取り戻しつつあるものの、中東不安は払拭できない状況が続く。
テクニカル面で意識される下値ライン短期的には不安定な値動きが続くものの、日経平均がいったん年初来安値近辺まで下落したことで、テクニカル面からは徐々に「下値の目安」が意識され始めている段階。具体的に注目されるのは、25日移動平均線からマイナス8%乖離する51,230円、2025年大納会終値に相当する50,339円、心理的節目となる50,000円という3つのサポートライン。売られすぎ感が意識されやすい水準が視野に入りつつある点は、反転を狙う投資家には見逃せない局面。
急反発も「リバウンド」の域を出ず中東情勢への過度な警戒が後退する局面では買い戻しが急速に進み、一時1,700円超の上昇を記録する強い動きも観測されている。ただし現在の上昇はリバウンドの側面が強く、「本格的な上昇トレンドへの回帰」と断定するのは難しい状況。短期的には5万1,000円〜5万6,000円のレンジ推移が想定されており、直近高値である5万6,000円台の回復が重要な分岐点とされている。
中長期は強気シナリオが優勢足元の波乱とは対照的に、中長期の見通しは強気論が主流。野村証券はメインシナリオとして2026年末の日経平均を60,000円、2027年末を63,000円、2028年末を66,000円と予想。大和アセットマネジメントも2026年末・2027年末の日経平均予想を63,000円・69,000円で維持。強気の根拠として挙げられるのが、日本経済の拡大と企業業績の伸びを背景とする堅調な展開の継続予想と、来期12%増益見込みを前提とした場合のPER20倍での6万円計算。
高市内閣が「責任ある積極財政政策」を打ち出す中、2026年の春闘では今年度並みの賃上げが実施される見通しで、実質賃金の上昇が軌道に乗ると予測されているのも、企業業績への追い風。デフレ完全脱却シナリオが現実味を帯びた先に、株価の本格的な上昇トレンド回帰という構図。
【ドル円】構造的な円安圧力と転換点の予兆 現在地:159円台で膠着する円安2026年3月25日時点のドル円は159円13〜15銭での推移。中東情勢の緊迫化を背景に1ドル=157円〜158円台での取引が継続してきたなか、原油高止まりへの懸念が円売り圧力を維持し、高値圏での膠着状態が続く。
3月6日発表の米雇用統計は非農業部門雇用者数がマイナス9.2万人と予想外の大幅減少、失業率は4.4%に上昇しており、物価上昇と景気後退が同時進行するスタグフレーション懸念が市場に広がっている状況。円高要因が存在するにもかかわらず高値圏に張り付く事実が、市場における「通貨の歪み」の象徴。
日銀利上げと為替介入というダブルプレッシャー3月も円安の上値が重い状況が続き、日銀の利上げ期待が高まるにつれて水準を切り下げていく展開をメインシナリオとする見方が三菱UFJ銀行のレポートでも示されている。日銀・植田総裁は少子高齢化による人手不足が賃上げ圧力を強めていると指摘し、賃金と物価がほぼ変化しない「ゼロノルム」の世界に戻る可能性は大きく低下したとの認識を表明。追加利上げへの積極姿勢が滲み始めており、金融市場では6月決定会合後の政策金利が0.91%と見積もられ、6月までの利上げ確率は73%と高い水準。
一方、為替介入への警戒感も根強い。高市政権の拡張的な財政政策と日銀の緩やかな利上げペースを材料とした投機的な円売りが影響しており、ドル円は短期的に160円水準を意識しつつ、政府・日銀の為替介入をにらんだ神経質な相場展開が見込まれる構図。
FRB議長交代という円高シナリオの鍵2026年5月にパウエルFRB議長が任期満了を迎えるタイミングが、ドル円相場の転換点となる可能性も浮上している。次期FRB議長の有力候補として利下げに前向きな人物が挙がっており、トランプ大統領が年内にも指名を行う可能性があり、利下げ見通しの強まりがドル円相場で円高材料として働く展開も想定される。米国では2026年10月のFOMC後の政策金利が3.08%と見積もられており、現状から2回以上の0.25%利下げが想定。
年末に向けた緩やかな円高シフトシナリオ主要金融機関の見通しは「目先は円安、年後半から緩やかな円高」というシナリオで一致の方向。三井住友DSアセットマネジメントはドル円の2026年末着地水準を150円と予想。目先は160円水準を意識しつつも、次第に155円、そして150円を中心とするレンジへ切り下がっていくシナリオを提示。みずほリサーチ&テクノロジーズは2026年前半を150円台前半、年後半は日米金利差がやや縮小するものの米金利上昇を受けて150円台後半への円安進展を予想。
総合所見:外部リスクを見極める忍耐の局面中東情勢という読み切れない地政学リスクが株・為替双方の相場を支配する3月の相場環境。日経平均は中長期の上昇シナリオは健在ながら、短期的な乱高下は続く見通し。ドル円は円安圧力と円高材料が拮抗する中、FRB議長交代と日銀利上げというダブルイベントが今後の方向性を決定づける重要な鍵。いずれの市場においても、外部環境の変化を冷静に見極めながらリスク管理を最優先とするスタンスが、2026年春の相場では求められる姿勢。
